66日間ブログチャレンジ

無意識ってすごい。

昨日から気になっている「人間が意識できている部分が10%、無意識の領域は90%」という話が、考えれば考えるほどすごいなあと思っている。そしてふと、かつて勉強した「関連性理論」を思い出した。

わからなくていい。 昨日はzoomで開催されていた「無意識」をテーマとした講座に参加した。人が意識できるのはたった10%で、あとの90%は無意識だといわれ...

大学生の専攻は、言語学だった。(途中までは心理学を専攻していたのだけれども、言語学がおもしろすぎて転科してしまった。)言語学といっても、発音から単語などいろいろな分野があるが、「語用論」という「発話がどうやって理解されるか」を研究する分野の「関連性理論」を学んだ。

ものすごくざっくりいうと、こんな内容だ。

  1. 大前提として、コミュニケーションは聞き手にとって目新しい情報を提供すること(=聞き手の認知の変化)を目的としている
  2. 認知の変化が大きければ大きいほど、効果が高い
  3. 長かったりまどろっこしい表現は、解釈するのに脳ががんばらないといけない

なるべく多くの新情報を、なるべくわかりやすく簡潔に伝える発話は、より効果が高い(=関連性が高い)と考える。とはいえ、たとえ長くて難解な文章であっても、それに見合うだけの大きな発見や感動がもたらされるのであれば、それは十分関連性が高い。

たとえば、朝礼での校長先生の話は、長い割りに新しい発見を見出せないから嫌がられる。逆に、本質を短い言葉でずばっと表した「名言」はみんな大好きだ。

さて、もしあなたがAさんに「今日、B店にお昼食べに行かない?」と声をかけて、Aさんが「今週3回行ってるんだよね」と答えた場合、あなたはきっとNOととると思う。けれど、実際にはAさんは行くとも行かないとも言っていない。

「行かない」と言えばわかりやすいが、角が立つ。あえてまどろっこしい表現を使うことで「あなたと行きたくないわけでもその店が嫌いなわけでもない」という情報を提供することができる。

この発話は、こんなふうに理解される。

  • (新情報)AさんはB店に今週3回行っている
  • (前提)同じ店に通っていると、たまには違う店にも行きたくなる
  • (結論)No

このとき、前提が「同じ店に通っていると、たまには違う店にも行きたくなる」だから、Noという結論に至る。

もし「このへんにはB店しかないから、外でお昼を食べるのであれば必ずB店」という前提があれば、結論はYesであり、Aさんの発言は「最近外食する機会が多い」という近況報告だと解釈することもできる。その際、お互いが前提を共有できないと、誤解が生まれることもある。

関連性理論は、腑に落ちるところがたくさんあって、これだけでもものすごくおもしろいのだけれど、同時に人の無意識領域の深さも教えてくれる。

なんと、人は会話をするときに、これだけのこと(その前後の文脈から前提条件を判断し、推測し、解釈したうえで、さらに相手に何を伝えるべきか判断し、言葉を発する)をほんの一瞬で行っているというのだ。しかも、発話は繰り返し行われる。「ひとこと発したら疲れ切ってしまう」という人は、たぶんいない。これくらいのことは、無意識にとって朝飯前なのだ。

仮に、意識がこれを行おうとすると、前提を洗い出すのに時間がかかるし判断を要する場面が多く、すぐに疲労がたまるのではないだろうか。「9倍」といわれるとそうでもないような気がするのだけれど、そもそも人ができることは結構いろいろあり、「1倍」の時点でたぶんそこそこすごい。その9倍である。

無意識の力も存分に発揮できるとしたら、言語だけでも9カ国語を自在に操ることができるし、運動能力も9倍…とまではいかなくても数倍にはなるだろう。(火事場の馬鹿力ともいうし。)理解力や表現力も単純に9倍とすると、テストで20点をとって追試を受ける生徒は100点を余裕で上回る点数をとれるし、TOEICで100点台の人が900点台になれる。

それだけの力がありつつも、謎のベールに包まれていて認識できず、自在に使うこともできないというあたりが、無意識の魅力的なのだと思う。