移住

kamenosの読書会。

日出町にある素敵なカフェ、kamenosで読書会をした。

事の発端は、kamenosのオーナーであるじゅんこさんが私のブログを気に入ってくれたことによる。
kamenosを訪れたときに「ちひろちゃんの文章、いいよね。やっぱり本をたくさん読んでるの?」と聞かれ、私はたしか「本は好きなんですけど、読んでますと言えるほど読めてはいないんです」と答えたと思うのだが、じゅんこさんはそのまま「私はずっと本にあこがれててここで読書会をやりたかったんだけど、ちひろちゃんやらない?」と振ってくれて(そんなじゅんこさんが大好きです。)「ぜひ!」と話がまとまった。

「読書会ってなに?」とときどき聞かれるのだけれど、基本的には本が好きな人たちが集まって語り合う場だと思っている。
いちばん多いのは、それぞれのお気に入りの本を持ち寄って紹介する読書会だろう。好きな本の傾向が似ている人との出会いも面白いし、普段なかなか読まないような本と出会う面白さもある。(ビジネス書や漫画など、ある程度ジャンルを限定した会もある。)
私がはじめて参加した読書会は、1冊の本をひとりひとりが読んだ上で集まって、それぞれの感想を話し合うタイプの読書会だった。自分が読み流していた部分を深く読み込んでくる人がいたり、同じ文章でも私とは違う受け取り方をしている人がいたり、1冊の本をひとりきりで読むよりもっとずっと何倍も楽しめて本当に楽しかった。
とはいえ、「1冊の本を読みあうのはちょっとハードルが高いね」ということになり、1回目はお気に入りの本を持ち合う会にしようと決まった。
ゆっくり話ができるように人数は少なめにしたいね。
話題をより共有できるように、なにかテーマがほしいね。
話はとんとんと進んで、じゅんこさんが提案してくれた「どこかに猫の出てくる本」が第1回目のテーマになった。

当日は、ふたりの女性が来てくれた。
「どこかに猫が出てくる本」どころか、タイトルや表紙から完全に猫の本ばかり。しかも、ひとりは小説、もうひとりは絵本、そして私はエッセイと、本としてのジャンルは全く違う。こういうテーマの設定の仕方、やっぱりいいなあ。いろいろな本が集まりつつも共通項があっておもしろいなあと、本が並んだ時点ですでに私は相当楽しんでいたのだけれど、当然のように3人とも猫が好きなので、猫の話でそれはそれは盛り上がった。

飼い猫との出会い。日々の暮らし。そして、別れ。

私自身はまだ猫との別れを経験したことがないのだけれど、ちょうど「自分が猫を残して死ぬ」という状況について考えをめぐらせていたところだった。「いや、さすがに猫のほうが先でしょう」と思われるかもしれないが、人生何があるかわからない。急な病気だってあるし、事故だっていつ起こるかわからない。そもそもは「亡くなった飼い主の動画を携帯で見る猫」の動画を見てしまったのがきっかけで(猫がじっと画面を見つめた後、携帯にそっと頭を寄せて目を閉じるという静かな動画なのだけれども、静かなだけになんとも悲壮感が漂う)、「私が死んだら猫たちのことはどうしよう」と考え始めたら止まらなくなっていた。(ちょっと遠いけれど、新潟に住む妹にお願いしようと決めました。)

「人間は一生、猫にすら勝てない」とは、読書会に途中から参加してくださった猫と本を愛する男性の名言だ。私の手帳にメモが残されていたのだが、どんな文脈で出た言葉だったのかは覚えていない。しかし、あれこれと思い煩ってあがくのは人間で、猫はすべてを、死すらも受け入れているように見えると話してくれた。(「人間は弱いからこそ知恵をつけたのかもしれないですね」という話も出た。それとも知恵があるからこそ弱いのだろうか。)
たくさんの猫を見てきた人たちの言葉には、ほんの何気ないひとことにもずっしりと重みがあって、生きること、そして死ぬことについて、直接語り合ったわけではないけれども私なりに感じるところがあったのだろう。読書会が終わってみると、猫との別れを思い悩まなくなっていた。

じゅんこさんは読書会について、「人との出会いや気づきがあって、それを日常に持ち帰ることができるような場にしたい」と話してくれていた。少なくとも私にとっては、じゅんこさんが思い描いたような時間になっていたなあと思う。

次回のテーマは、「コーヒーの香りを感じる本」の予定です。たのしみ。

 

 


せっかくなので、持ってきていただいた本をご紹介。

1冊目は「旅猫リポート」。

ほんの概要を聞いただけで涙腺がゆるみきってしまった、恐ろしくも美しい本。(厳密には私は読んでいないのだけれども、出てくる人や猫の思いや風景がとてもやさしく美しいのだろうなと思いながらお話を聞きました。)猫目線の、猫と人とのロードムービー的な小説だそう。裏表紙の概要でだいたいの展開がわかってしまうのですが、なんとなく心地良い風が吹いていそうで、読んでみたくなりました。(私の覚悟が決まったら読みます。)

そして、可愛い絵本たち。

とにかく絵がかわいくて、眺めているだけでにこにこしてしまう「猫のプシュケ」(ただし読むと切ない)。私自身が長子だからか、とても直視できないほど心に刺さる「ねえ だっこして」。ここまで泣いてばかりで、猫の絵本って切ない話ばっかりか!(100万回生きた猫とか)とめそめそしていた私を癒してくれた「うきわねこ」(ものすごくいい笑顔でおかかおにぎりを食べるこねこ、えびおがかわいすぎました!)。私は普段あまり絵本は読まないのですが、やっぱりいい絵本はいくつになって読んでもおもしろい。心揺さぶられる。

私が持って行ったのは金井美恵子氏のエッセイ。

私の文章は、多分にこの方の影響を受けています。内容は毒舌辛口エッセイですが、著者は17年間共に過ごした飼い猫を亡くしたばかりで、猫の気配がすごい。たんたんとした文章の中にふいに滲む、猫との時間。いつもタイトルを「猫の一生」と間違ってしまうのだけれど(本当は「猫の一年」)、文中でも「編集者に『猫の一生』と間違えられた」というくだりがあって、やっぱり…と思う。